ビヨンド・“ゼロカーボン”を実現するための技術やシステムが、本当の意味で地域のためになるのかを見極めるにはどうしたらよいでしょうか？たとえば、太陽光発電や風力発電は主力の再生可能エネルギー技術となってきましたが、長期的な管理と景観への配慮から適切な設置場所を選択する必要があります。バイオマスの活用は高コストが指摘されていますが、地域の農林業を活性化しうることも分かっています。地域の豊かさには、多様性があり、環境、社会、経済、などの側面から、先見性をもって考える必要があります。

このとき重要になるのが、ライフサイクル思考です。資源の採取から、製品やサービスの原材料生産、製品の生産、輸送、利用、リサイクルまたは最終的な処分に至るまでの一連のプロセスをライフサイクルといいます。このライフサイクルで起きることを、技術や仕組みを実装する前に、先制的に管理することが重要です。
ライフサイクルアセスメント（LCA）はライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価するものであり、近年は「現在」や「過去」だけでなく、「未来」の環境影響を可視化することができます。マテリアルフロー分析（MFA）、産業連関分析（IOA)も循環型社会の研究で用いられる分析手法で、物質（マテリアル）があるシステムの中でどのように流れどこにたまっているのかを特定したり、産業活動による経済効果を明らかにしたりします。
研究開発課題１は、LCA、MFA、IOAなどの分析・評価手法を活用して先制的なライフサイクルマネジメント（LCM）手法を開発し、地域にとって最適な技術や仕組みを導入・運用可能とします。具体的には、LCMにおける、ライフサイクル設計、ライフサイクル評価、ライフサイクル運用の3段階で持続可能な地域づくりに貢献する要素を特定していきます。