2022

11/24

和歌山県内の現地視察・意見交換を行いました

2022年11月24日-11月25日 和歌山県(和歌山市、有田市、有田川町、田辺市、上富田町)

和歌山地域サテライトの研究活動の一環として、研究開発課題同士の連携を強化し、新たな研究テーマやその可能性を探るため、和歌山大学・和歌山県が東京大学の研究チームに和歌山県内の地域資源の利活用の状況について現地を紹介するとともに、現状の課題について意見交換を行いました。 有田市、有田川町では、柑橘類全般の研究を行う和歌山県果樹試験場や、その近隣にあるミカンの段々畑、木質チップを原料とするバイオマス発電所、規格外ミカンからジュース等の加工品を製造・販売する株式会社早和果樹園を訪問しました。また、田辺市、上富田町では、小水力発電やジュースの加工所等を運営する企業・団体の拠点がある秋津野ガルテンや、株式会社中田食品の梅調味廃液を利用したバイオガス発電設備を見学しました。それぞれの施設では、事業者・生産者の生の声を伺いながら、様々意見交換を行いました。 その中で印象深かったのは、株式会社早和果樹園による規格外ミカンからジュースをはじめとする加工品を作る取り組みで、参考としたい取り組みのひとつでした。規格外のミカンを相場より高く買うことで、年々減少する農家の経営を強化・支援されていました。また、ジュースを絞ったあとの絞りカスや外皮を余すところなく使い、漢方の原料や化粧品等の高付加価値の商品を開発・販売することにより、会社を持続的に成長させ、就農希望者の受け皿として、さらに、地域の雇用創出にも貢献していました。地域資源から新たな産業が生まれ、他の産業へ影響・効果が波及し、地域全体の活性化につながるという、”Co-JUNKAN”の理想的な形での実践をみることができました。

一方で、事業者・生産者は大小さまざまな問題・課題を抱えていることが分かりました。これら問題・課題の中には、バイオマス利用による産業全体の活性化を目指す研究開発課題5や熱・電力の需給構造を研究する研究開発課題6の技術や科学的知見と連携することで、解決と一層の推進が図れる可能性が見出されました。 また、今回の視察を通して、「農業や林業などの第一次産業を安全で安定した収入の望める職業として次世代に継いでいきたい」という各事業者・経営者と、それを支援していきたいという和歌山大学・和歌山県の担当者の、“わかやま”を愛する思いを強く感じられました。

これらをより良い形にできるよう、今後も和歌山地域サテライトでの連携をいっそう強め、拠点活動を推進していきたいと考えています。

和歌山サテライト視察>